ショパンコンクールも終わり、ようやく静けさが戻ったかと思いきや、今度は採点方法を巡って侃侃諤諤……
この話題はちょっと重めなので、私はチラ見でスルーしています。

先日、大人の生徒さんに誘われて、ブーニンのリサイタルを聴きに行きました。

こんにちは！

ピアノおとぎ箱♪赤山町教室の高橋美佐です。

ブーニンと言えば、1985年のショパンコンクールで圧倒的な勝利をおさめ、一躍「時の人」となったピアニストですね。クラシックファンでなくとも名前を聞いたことがある、という80年代を代表するスーパースターです。

私は、優勝直後の来日時と、10年くらい後の2回、生で聴いていると思います。ショパンコンクール時のライブ録音のLPを良く聞いていたので、私の中のコンチェルトはブーニンがデフォルトで、今年のコンテスタントたちの演奏は、誰を聞いても「オッソ！（遅）」という感想が真っ先に出てしまいました。定期入れには、ブーニンのカード。今思えば、かなりのオタク女子高生でした（笑）。

でも、そう言えば、いつの間にか名前を聞かなくなった、と思いませんか？実は数年前、ブーニンさんに近しい方からお話を伺う機会がありました。
そこで初めて、彼の壮絶な闘病生活と深い苦悩を知りました。

2022年、9年ぶりに聴衆の前で演奏し、復活を遂げたそうです。「以前のように完璧でなくとも美しく演奏したい」という気持ちがパンフレットにも書かれていました。年明けに「天才の半生と苦悩」を描いた映画も公開されるようですね。

今回のリサイタルでは、杖に頼りながらゆっくり歩き、

私でも「？？？」と思うようなミスタッチや指のもつれ、暗譜が怪しいのかと思うような、ゴニョゴニョとした部分が多く見られました。

右手の響きは相変わらずクリアで美しく伸びやかでしたが、左手の音がやや弱く感じられました。後で知ったのですが、左手にはまだ不自由さが残っているそうです。かつての圧倒的なテクニックや颯爽とした華やかさなどは、どこへ？まだ５０代とは思えない枯れた感じがありました。

全盛期を知っている身としては、何とも言えない寂しさがあり、病気の恐ろしさを改めて感じずにはいられませんでした。それでも、マズルカなどは、独特の哀愁があり素晴らしかったです。また、後半のシューマンは、無理のないレパートリーなのか落ち着いて聴くことが出来ました。

何より、長い闘病を経て再びステージに立つ姿に、深い感動を覚え、尊敬の念を抱きました。

ご本人はどんな気持ちで聴衆に向き合っているのでしょう？？かつて世界一に輝き、もてはやされ、そして再起不能とまで言われた男・・ただただ、感謝だけではないでしょうね。「我々には想像もできないような苦労をなさってきているので」とは、前述の比較的近いところにいた方の言葉です。

かなり短めのプログラムを終えた瞬間、後ろの方の客席から「ハラショー！」という声が飛びました。お客様も手を高くあげ、前のめりで拍手をしており、「おかえり！！」という声なき声が聞こえたように感じました。

早く、体調が万全に回復し、かつての輝きを取り戻してほしいと思う気持ちはあります。その一方で、若い頃のように弾けないことは、決して“衰え”ではないのかもしれないとも思いました。人生の重みや苦しみが滲む音――それもまた、深く人の心を打つ演奏だと感じました。

ブーニンさんの演奏を聴いて、
「やっぱりピアノっていいな」と改めて感じました。
年齢を重ねても、どんな状況でも、音楽は人の心を動かし続けるものですね。

「自分も、もう一度ピアノを弾いてみたい」
「憧れの曲を、少しずつでも弾けるようになりたい」
そんな大人の方のためのレッスンも、ピアノおとぎ箱♪赤山町教室では行っています。

基本は月3回のコースですが、大人の方には月2回からのゆったりペースもおすすめしています。
お仕事や家庭との両立をしながら、無理なく続けていただけます。

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