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FP EYE 澤田朗FP事務所 越谷分所

2023.12.12

日照阻害のある土地の相続税評価額



日常生活をする上では、一般的には日当たりの悪い場所よりも良い場所で暮らしたいと考えると思います。

相続税の土地評価では、日が当たらない時間が一定時間を超える等の要件を満たした場合に評価額を減額することができます。

今回は「日照阻害のある土地」の評価方法についてお伝えします。

■「日照阻害」がある土地の評価額が下がる
近隣に高層マンションが建っている等、日中の日当たりに影響がある場合には、相続税の財産評価において評価額を減額できる可能性があります。


・国税庁HP:利用価値が著しく低下している宅地の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4617.htm

(前略)利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、(中略)利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。

(中略)
4(中略)日照阻害(中略)等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの
(後略)


ただし宅地であっても「店舗」「事務所」「倉庫」等、住宅以外の目的で使用されている土地についてはこの評価の適用外となる可能性が高くなります。

生鮮食品を扱っているお店やオフィス等は日が当たらないほうがむしろ良く、日が当たらないことが必ずしもマイナスとはならないというのが理由の一つです。

又、該当地が路線価地域であれば「路線価」、倍率地域であれば「固定資産税評価額・倍率」を基に評価額を算出しますが、この路線価等が周辺の土地と比較して低い場合には、日照阻害が価格に反映されていることになりますので、10%減額の適用はできません。

■「日影時間」が評価に影響する
なお日当たりが良い・悪いという感じ方は主観的な部分もあり判断が難しいため、1日のうちの日影時間が一定時間あるか等の「日影規制」の基準を超える場合に評価を減額できることになります。

日影規制は1976年に改正された建築基準法で追加されたものです。当時は日本経済の成長もあって中高層の建物が多く建築され、その影響で日当たりが悪くなる場所が増え「日照権」が主張されることが多くなりました。

このような背景もあり日影規制を設けて、建築物の高さ制限に加えて日影時間についても制限されることになりました。

用途地域や距離等によって制限が異なり、規制の対象となる建築物や日影時間は下記の通りとなります。日影時間は「冬至」における8時から16時までの8時間で計算され、この時間内で下記の日影時間を超える建築物は建てられないこととなりました。

・日影の規制時間等

 
地域 制限をうける
建築物
平均地盤面
からの高さ
敷地境界線からの
水平距離の範囲の日影時間
種別 5m超10m 10m  
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
軒高7m超
又は3階以上
1.5m (1) 3時間 2時間  
(2) 4時間 2.5時間  
(3) 5時間 3時間  
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
高さ10m超 4m
又は6.5m
(1) 3時間 2時間  
(2) 4時間 2.5時間  
(3) 5時間 3時間  
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
準工業地域
高さ10m超 4m
又は6.5m
(1) 4時間 2.5時間  
(2) 5時間 3時間  
用途地域の指定のない区域 高さ10m超 4m (1) 4時間 2.5時間  
(2) 5時間 3時間  



















上記の地域には商業地域・工業地域・工業専用地域は含まれておらず、日影の時間規制等はありません。

前述と同じく、この地域は日当たりの悪さが必ずしもマイナスとはならないというのが理由となります。なおこの規制は自治体によって内容が異なる場合がありますので確認が必要となります。

■このような土地は存在するのか?
上記の規制にあてはめて日照阻害の可能性がある場合には、日影時間について一級建築士等の専門家に「日影図」等の作成を依頼し判断を仰ぐことになりますが、

前述の建築基準法改正後に建てられた建物はこの規制を順守して建築されていますので、日照阻害に該当する可能性は低くなると思われます。

ただし鉄道や高速道路等の高架の北側にある土地や、近隣に1976年以前に建築された高層マンションや違法建築物等がある場合には日照阻害の可能性がありますので、日影時間と路線価等の確認を行った上で減額できるかどうかを判断することになります。

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