2023.12.22
成年後見制度を利用するまでの準備と申立
成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」があり、認知症になってしまった後に利用できるのは法定後見(成年後見等)です。
この制度を利用することで、「成年後見人等」が日常生活のサポートや財産管理などを行えるようになり、相続の時には認知症になってしまった人の代理人となって遺産分割協議などが行えます。
後見制度を利用には申立が必要ですが、今回は誰がどのように申立を行うのか、どのような準備や書類が必要なのかなど、申立の流れをお伝えします。
■申立の手続きは誰がどのように行うのか
申立は、認知症になってしまった人(以下「本人」)の、住民票上の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
申立ができる人は本人・配偶者の他、4親等内の親族、成年後見人等、任意後見人、任意後見受任者、成年後見監督人等、市区町村長、検察官です。ちなみに4親等内の親族は、おもに次のような人になります。
・親、祖父母、曾祖父母、子、孫、ひ孫
・兄弟姉妹、おじ、おば、甥姪、いとこ
・配偶者の親、祖父母、曾祖父母、子、孫、ひ孫
・配偶者の兄弟姉妹、おじ、おば、甥姪 など
申立にはさまざまな書類や手続きが必要になります。本人や親族が申立を行う場合は、弁護士・司法書士に申立書の作成を依頼したり、社会福祉協議会などに相談して手続きを進めることもできます。
■申立の手続きに必要な準備や書類
申立の手続きには、次のような書類などが必要になります。
・後見・保佐・補助開始等申立書
本人の判断能力の度合いによって、後見・保佐・補助のうちどの申立を行うのかを決めて書類を作成します。
・申立事情説明書
申立に至った経緯や本人の現状などを記載します。
・親族関係図
・財産目録
・相続財産目録
本人が相続人となっていて、遺産分割が完了していない場合に提出します。
・収支予定表
預貯金、不動産、有価証券、負債など、本人の財産の内容を記載します。また年金収入や家賃収入、生活費、療養費、住宅費など、本人の月間・年間の収支をまとめて提出します。財産や収支に関する資料のコピーも必要です。
・親族の意見書
本人が亡くなった場合に相続人となる親族の意見書を提出します。後見を開始することや、候補者となっている人が後見人等になることに賛成なのか、といった意見を記載するもので、この内容を基に誰が後見人等に適任なのかを裁判所が判断します。
・後見人等候補者事情説明書
後見人等の候補者についての個人情報や、候補者となった経緯などを記載します。
・診断書(成年後見制度用)
・診断書付票
医師が作成し、診断名、所見、判断能力に対する意見などが記載されます。裁判所が審理などを行う際に参考にする書類です。
・本人情報シート
本人の介護等を行う福祉関係者が作成し、日常生活、認知機能、意思決定、金銭管理等の状況を報告するものです。
・本人の戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)
・本人の住民票または戸籍の附票
・後見人等候補者の住民票または戸籍の附票
・本人が登記されていないことの証明書
なお申立には、以下の収入印紙が必要です。
・申立手数料:800円(保佐や補助で代理権や同意権付与の申立もする場合はそれぞれプラス800円)
・登記手数料:2,600円
また書類の送付費用として、以下の切手代も必要になります。
・後見:3,720円分
・保佐、補助:4,920円分
■申立の準備ができたら面接の予約をする
書類などの準備ができたら、家庭裁判所に連絡をして面接日を予約します。面接日時と予約番号を「提出書類確認シート」に記入し、申立書類一式・収入印紙・郵便切手を家庭裁判所に送付します。
面接は原則として、裁判所が申立人及び成年後見人等候補者から、申立に至った経緯などを確認するために行われます。
このように申立にはさまざまな書類などを準備する必要があります。
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