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FP EYE 澤田朗FP事務所 越谷分所

2023.12.13

10年以内に複数の相続が発生した場合の税負担は?



短期間に複数の相続が発生してしまった場合、相続財産の額によってはその都度相続税がかかり、相続人の税負担も大きくなってしまうことも考えられます。結果、財産が急激に減少してしまい、相続人の生活等に影響が出てしまう場合もあります。

このように複数の相続によって税負担が大きくなった場合に、負担を少なくできる制度がありますので、今回は制度の内容についてお伝えします。

■「相次相続控除」とは?
亡くなった方の財産を相続した人が、その相続からあまり年月が経たないうちに亡くなった場合、その一連の相続を、相次いで相続が発生したという意味で「相次相続」と呼びます。また先の相続を一次相続、後の相続を二次相続と呼びます。

このような相続が起こった時に、それぞれの相続の際に相続人が相続税を負担した場合、要件に当てはまれば、後の相続税の負担を軽減できる制度が「相次相続控除」となります。

ではどのような要件に当てはまれば相次相続控除を受けることができるのでしょうか。

■要件を満たせば相続税の軽減が
相次相続控除を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

1.10年以内に2回の相続が発生
一次相続と二次相続が10年以内に起こった場合です。ちなみに二次相続の後に三次相続が発生した場合には、この2つの相続の期間を見て10年以内であれば、条件にあてはまることになります。

2.次の3つの条件に「全て」あてはまる場合
(1)被相続人の相続人であること
適用対象者は相続人に限定されていますので、相続の放棄をした人及び相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度を利用することはできません。

(2)その相続(二次相続)の開始前10年以内に開始した相続(一次相続)により被相続人が財産を取得していること

(3)その相続(二次相続)の開始前10年以内に開始した相続(一次)により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと

つまり二次相続の被相続人が、一次相続の際に財産を取得して相続税を払っていた場合に、二次相続の相続人の税負担を軽減できる、という制度です。

■どのようなケースで活用できるのか?
この制度は、先の相続で相続税を払っていることが要件となっていますので、夫死亡時に配偶者控除を活用して税負担が無かった妻の相続の際は活用できません。

例えばその妻の父が10年以内に亡くなった時に妻が相続税を払っていた場合や、別のケースでは兄弟姉妹しか相続人がいなく、相続が発生したごとに税負担が発生した場合等に活用することができます。

なお税負担の軽減額は、下記の式によって計算された額となります。

A×C/(B-A)[求めた割合が100/100を超える場合は100/100とする]×D/C×(10-E)/10

A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
この相続税額は、相続時精算課税分の贈与税額控除後の金額をいい、その被相続人が納税猶予の適用を受けていた場合の免除された相続税額並びに延滞税、利子税及び加算税の額は含まれません。

B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額
 (取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務及び葬式費用の金額)

C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額

D:今回のその相続人の純資産価額

E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)

となります。

複雑な計算式ですが、直近で亡くなった被相続人が、その前の相続の時に払った相続税のうち、

(今回の相続からその前の相続までの経過年数)×10%

を減額した額を、今回の相続税から控除するという制度となっています。

つまり、今回の相続からその前の相続までの年数があまり経ってない場合には控除額も大きくなりますので、不幸にして相続が続き、各項目に該当する場合にはこの制度を活用するメリットがあります。

なおこの制度は申告をしないと適用されない制度ですので、活用する際は「相次相続控除額の計算書」の提出が必要となります。

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