フードパントリーとは、ひとり親世帯をはじめ様々なご事情を抱えている方々へ生活に必要な食糧・物資を支援するボランティア団体の活動拠点です。
食糧や物資は主にフードバンク及び活動趣旨に賛同される団体・企業・個人の方々より提供されています。
その活動は埼玉県内でも拡がりをみせており、越谷市内には、越谷子育て応援 フードパントリーせんげん台 、
越谷子育て応援 フードパントリーぽらむの家、越谷子育て応援 フードパントリー越谷市場の3つの拠点があります。
今回は越谷市場内で活動されている「越谷子育て応援フードパントリー越谷市場」を訪問し、代表の
武藤 晴彦さんにお話をうかがいました。
「越谷子育て応援フードパントリー越谷市場」代表 武藤 晴彦さん
──まず、フードパントリー越谷市場の紹介をお願いします。
はい。正式名称は「越谷子育て応援フードパントリー越谷市場」と言います。
子育ての世代の生活困窮者、主に1人親で、その中でも特にシングルマザー…母子家庭に無料で食品をお渡しするという活動を行っています。
──越谷市場ではどのくらいの頻度で開催されてますか?また何人ぐらいが利用されているのでしょうか?
今登録している方は120世帯いらっしゃいます。今月、先月はおよそ90人くらいの方に配付しました。
越谷市場でのフードパントリーは2か月に1回配付していて、今回で4回目になります。
──どのような方が支援されていますか。
主にフードバンク「セカンドハーベスト・ジャパン」、「フードバンク埼玉」さんからご支援いただいています。そのほか地産地消の促進ということで、越谷市内の企業さんから食品をいただいたりもします。また、個人の方からの寄付もあります。
自然発生的にはじまったリサイクル活動
──フードパントリーというと食べ物だけのイメージがありましたが、実際には衣服や文房具、その他の品物などもありますね。これらの品物はどのような経緯で集まったのでしょうか。
フードパントリーという名前の通り、もともとは食べ物なんですけれども、食べ物だけではなく衣類などにも困っていることを聞いた配付者の方や、活動を知った方から提供していただき、自然に集まってきた感じです。配付者の方に小さいお子さんがいると、逆に会員の方が小さくて着れなくなった衣類を渡したりとか。そんな風にして、結果的に、食べ物とは別の独立したリサイクル活動として成り立ってきています。
子どもたちに学びの場を
──学習支援にも力を入れたいとうことですが
お子さんが学校の勉強についていけないとか、受験のための勉強などは、通常なら塾などに行くのでしょうが、支援を受ける世帯では、塾に行くお金も、送り迎えもできない等、色々と事情があるのでなかなか難しい現状があります。今、こうした中でもちょっとした勉強を見てもらえる場所の必要性を非常に感じています。
──具体的にどのような展開を考えてらっしゃいますか。
大学生の息子に話してみたら、自分もそういった支援をやりたいと言ってもらえました。下の子は高校生なんですが、友人やPTAのお母さんたちにも賛同していただいています。また、越谷だと文教大さんが近いので、先生や教師を目指す方が多い文教大との連携ができたらいいなと思っています。まだまだこれからですが、まずは自分の子供とその友人数名ではじめてみようかと考えています。
──大勢のボランティアのスタッフさんがいらっしゃいますが、どういった経緯で協力することになったのでしょうか。
私が10年前に小学校PTA会長をやってまして、そこから地域活動をはじめたことから、当時の私と、その次のPTA会長、そのさらに次のPTA会長の3人がスタッフとなっています。あとは、当時のPTA副会長さんやお母さん方が中心です。また、我々の地区だけではなく、同じ越谷市場がある地区の主任児童員仲間の大相模主任児童委員の方もスタッフとして参加いただいております。要するにPTA関係者と、主任児童委員の仲間ですね。
気軽に相談できる相手との架け橋に
──社会の中でのフードパントリーの役割は、どのようなものだとお考えですか。
フードパントリーというと、名前の通り食べ物を渡すだけと思われがちです。それももちろんあるのですが、実際に活動してみると、母子家庭の皆さんは相談できる相手がいないということに気付きました。役所などにそういった窓口はありますが、今コロナ禍で相談も殺到していますし、土日に相談ができないなどの時間的な制約もありますよね。フードパントリーの場が、気楽に相談できる相手を見つけるための橋渡し的な役割を果たしていると思います。私たちスタッフに関しても、我々だけでできないことを、先程のPTAの繋がりの仲間とか、主任児童委員、民生委員の仲間に相談するうちに新たな繋がりが出来たりして、その架け橋になっていると感じます。看板に虹を描いているのも、そういった虹の架け橋になるという思いを込めてモチーフにしています。
──今後、食品や衣料、生活必需品などの支援を募るにあたって、何かメッセージがあればお願いします。
はい。このフードパントリーというものは、子ども食堂と違い、ターゲットがほぼ決まっています。母子家庭であったり、児童扶養手当をもらっているような世帯ですね。そういった事情から、なかなか公にできないというところがあって、世の中に知れ渡りにくいのですけれども、少しずつでも啓蒙していって、より多くの方に知っていただければと思います。ぱっと見は分からないんですけど、困っている方は私たちが思っている以上にたくさんいらっしゃいます。こういった現実を多くの方に知っていただいた上で、洋服でも食べ物でも、「だったらこういうのがあるよ」と手をあげていただいたりして、少しずつでも支援の輪を広げていけたらと思っています。
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