2024.02.22
土地の相続税評価額はどのように計算するのか?|越谷の土地の相続税評価の相談は澤田朗FP事務所
預貯金や有価証券等と違い不動産、特に土地の相続財産としての評価額は様々な計算を基に算出されます。
土地の評価額を把握しなければ相続財産全体の評価額も把握できず、相続税額を知ることもできません。
今回は相続財産としての土地の評価方法の流れや計算方法についてお伝えします。
■土地の利用形態ごとに計算をする
土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。
路線価方式は、毎年国税庁が公表する「路線価」を基に計算する方法で、道路に接している土地の1㎡あたりの標準的な価格が路線価として定められています。
市街地や住宅街等の道路には路線価が定められていて、路線価に土地の形状等を考慮した各種補正率を掛けた後に、評価する土地の地積を掛けて評価額を算出します。
・国税庁HP:土地家屋の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4602.htm
倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地を評価する方法で、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価額を算出します。
路線価方式に比べて評価方法はシンプルになっていますので、今回は路線価方式の評価方法についてお伝えします。
土地の地積は地番(一筆)ごとに法務局に登記されていて、登記簿謄本(登記事項証明書)で確認することができます。
ただし相続税の土地の評価は地番ごとに行うのではなく、その土地の利用形態(利用区分)ごとに行っていきます。
・国税庁HP:宅地の評価単位
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4603.htm
主な利用区分には「自用地(自宅等、所有者自身のために利用している土地)」「貸家建付地(賃貸マンションやアパート等、他人への賃借のために利用している土地)」「貸宅地(他人に貸している土地)」「借地権(他人から借りている土地)」「私道(道路として利用されている土地)」等があり、
それぞれの利用区分ごとに土地の評価を行っていきます。
評価を行う際は、まずは「自用地」としての評価額の算出を行い、その後利用区分に応じた計算式で最終的な評価額を算出していきます。
自用地の評価をする際には評価額を減額できる場合があり、その代表的なものは土地の形状による減額です。
間口が極端に狭かったり奥行が極端に長い場合には補正率に応じて減額ができ、また長方形や正方形と比較して形が「不整形」な土地の場合にも評価額を減額できます。
このように土地ごとの減額要因を考慮した上で自用地の評価額を算出します。
・国税庁HP:不整形地の評価
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/02/03.htm
■土地の利用形態ごとに計算をする
自宅等、所有者自身で利用している土地については「自用地」の評価額が相続財産としての評価額となりますが、他の利用形態の土地についてはさらに評価額を減額することができますので、代表的なものをいくつかお伝えします。
・貸家建付地=自用地の評価額-自用地の評価額×借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合
こちらは、自身の土地に賃貸マンション等を建てて他人に貸しているケースが当てはまります。自己使用の土地と比較して換金性が低くなることから、その分評価額を減額することができます。
・国税庁HP:貸家建付地の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm
・貸宅地=自用地の評価額-自用地の評価額×借地権割合
こちらは、他人に土地を貸していて、その土地に他人の建物が建っているケースが当てはまります。貸家建付地と同様、貸宅地も自用地と比較して換金性が低いという観点から評価額の減額を行います。なお借地権の評価額は「自用地の評価額×借地権割合」となります。
・国税庁HP:貸宅地の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4613.htm
・私道=自用地の評価額×30% または 評価額0
私道は、袋小路等「専ら特定の者の通行の用に供するもの」か、通り抜け道路等「不特定多数の者の通行の用に供されているもの」かによって評価が変わります。前者は自用地の評価額の30%評価、後者は評価額が0となります。
・国税庁HP:私道の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4622.htm
■計算方法が複雑になる場合も
上記の通り土地はその利用区分ごとに評価を行い計算していきますが、計算方法が複雑になる場合もあります。
例えば一筆に自宅が建っている場合等はその地積を基に計算ができますが、一筆に複数の利用区分がある場合や、複数の筆に複数の利用区分が入り組んでいる場合には、登記されている地積を基に計算することができません。
その場合、利用区分が塀やフェンス等ではっきり分かれていれば良いですが、そうでない場合には利用区分の境界を確認・判断しなければなりません。
いずれにしても現地での測量を行う等、利用区分ごとの地積を求めていく必要があります。
また、賃貸アパートが複数棟並んで建っている場合には、利用区分は同じ「貸家建付地」ですが、土地の評価は1棟ごと行っていきますので、この場合にも実際の利用形態を基に1棟ごとの利用区分を判断し地積を求めていくことになります。
■詳細な計算は専門家へ依頼する
このように利用区分の判断が難しい場合や、各種補正率をどのように適用していくかの判断が難しい場合があります。
評価の方法によって相続財産全体の評価額にも影響してきますので、特に複数の土地を所有している場合や異なる利用区分が隣接している場合等は、相続税の土地評価に詳しい専門家の判断を仰ぐ必要があります。
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